不動産クラウドファンディングへの投資により得られる利益には税金が課税されます。ここでは、不動産特定共同事業法に基づく不動産クラウドファンディングに限定して、どのような税金が課税されるのか、その申告・納税方法などの概略について説明いたします(詳細については顧問税理士又は管轄の税務署にご確認ください。)。
不動産特定共同事業に関する税金については、「匿名組合型」と「任意組合型」で取り扱いが異なります。
匿名組合型の不動産特定共同事業商品にかかる税金
匿名組合型商品の利益配当金にかかる税金について
不動産特定共同事業の匿名組合型商品では、事業者の所有する不動産の運用益から、契約で定められた利益を投資家に分配するため、金融商品の配当に似ており、匿名組合型商品の利益配当金は、個人投資家の場合、所得税の課税対象となります。匿名組合の利益分配金は源泉徴収の対象となるため、税率20.42%(所得税+復興特別所得税)の源泉徴収税を差し引かれた金額が出資者に支払われます。
匿名組合型商品の利益配当金の税務申告について
匿名組合型商品の利益配当金は「雑所得」に分類され、総合課税の対象となるため(源泉分離課税ではありません)、確定申告が必要になります。ただし、年間の給与収入額が2,000万円以下の給与所得者(サラリーマン)で、給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下である場合など、確定申告が不要な場合があります。
毎年1月1日から12月31日までの間に確定した分配金の合計額について「支払調書」を発行いたしますが、確定申告の際には添付不要です。
任意組合型商品の利益配当にかかる税金について
任意組合型商品の所得税の申告について
任意組合型商品の場合、任意組合に法人格がないことから、組合自体が納税主体にはならず、組合財産の共有持分を有する各組合員が課税主体となります。
対象不動産の賃貸事業収益は「不動産所得」として総合課税の対象となり、また、売却事業収益は「譲渡所得」として分離課税の対象となるため、原則として、確定申告が必要となります。ただし、匿名組合型商品の場合と同様に、年間の給与収入額が2,000万円以下の給与所得者(サラリーマン)で、給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下である場合など、確定申告が不要な場合があります。
現物不動産投資を行ている場合と同様の税務処理になりますが、現物不動産投資とは異なり、任意組合にて損失が発生した場合に、当該損失を他の損益通算することができず、その損失はなかったものとして処理しなければならなくなるため注意が必要です。
任意組合型商品の相続税について
任意組合型商品では、任意組合の財産(主に対象不動産)は各組合員の共有になることから、組合員に相続が発生した際には、当該任意組合の組合持分については、任意組合で所有している土地・建物を相続税評価額で評価することになります。相続財産の評価は、国税庁から公表されている「財産評価基本通達」に定める評価基準に従って評価することになるため、土地は路線価方式又は倍率方式に基づいて、建物は固定資産税評価額に基づいて評価することになります。この方法による場合、相続税評価額が出資簿価を下回るケースが多いため、相続税の節税になることがあります。ただし、任意組合の商品内容等によっては、通常の評価方法が著しく不適当であると判断され、否認されてしまうリスクがありますので注意が必要です。