TAMBOもJ-REITも不動産を投資対象とするファンドという点では共通しますが、TAMBOは「不動産特定共同事業法」に基づく匿名組合契約による出資(不動産特定共同事業商品)であるのに対し、J-REITは「投資信託及び 投資法人に関する法律」に基づき設立された不動産投資法人の投資証券への投資であるため、仕組みの違いによりさまざまな違いが生じています。
J-REITとは
REITとは「Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)」の略で、その日本版がJ-REITです。
J-REITは「投資信託及び 投資法人に関する法律」に基づき設立された不動産投資法人という会社のような形態を採用しており、その法人が発行する「投資証券」を投資家は購入します。
J-REITは、解約に応じないクローズドエンド型という仕組みを採用しており、基本的には中途解約することができませんが、投資証券という投資信託の形態を採用し、証券取引所に上場することで流動性を確保しています。
不動産特定共同事業商品とJ-REITとの共通点
不動産特定共同事業商品とJ-REITとは、以下のような共通点があります。
【共通点①】不動産の運用益を受け取ることができる
不動産特定共同事業商品もJ-REITも投資対象は不動産であるため、不動産を賃貸・売却して運用し、そこから得られた利益を投資家に分配する点で共通します。
【共通点②】比較的少額から投資が可能
不動産特定共同事業商品は主に事業者に直接、J-REITは証券会社を通じて投資しますが、J-REITの投資口価格は1口あたり数万円から数十万円で、株式とは異なり1口から投資することができるため、どちらも比較的少額から投資することができます。なお、J-REITの場合は売買時に証券会社への手数料がかかりますが、不動産特定共同事業商品の場合は売買手数料は徴収しない商品が多いです。
【共通点③】分散投資が可能
不動産特定共同事業商品もJ-REITも、現物不動産投資に比べて比較的少額で投資ができることから、現物不動産投資に必要な資金でいくつかの商品に分散投資することが可能です。異なる不動産特定共同事業商品やJ-REITに分散投資するだけではなく、不動産特定共同事業商品とJ-REITに分散投資することもできます。なお、J-REITでは1つの商品の中で複数の不動産に分散投資している商品しかありませんが、不動産特定共同事業商品の場合は1商品1物件であるケースが大半になります。
【共通点④】不動産のプロによる運用
不動産特定共同事業商品もJ-REITも、不動産の運用は不動産のプロに任せている点で共通します。不動産特定共同事業の場合は、事業許可を有する事業者自身(宅地建物取引業の免許も保有)が不動産の運用も行いますが、J-REITの場合は不動産投資法人自体が運用するのではなく、投資法人から委託を受けた不動産のプロである資産運用会社が運用を行います。なお、JREITの資産運用会社は金融商品取引法に基づく金融商品取引業者(投資運用業)の登録を受けている必要があります。
不動産特定共同事業商品とJ-REIT の相違点
【相違点①】投資市場における流動性
J-REITは証券取引所に上場しており、日々活発な売買が行われているため、投資市場においてマーケット価格にて自由に売買することができます。
これに対し、不動産特定共同事業商品は証券取引所に上場しておらず、流通市場も整備されていないことから、投資家が自由に売買することはできません。契約に基づき出資者の地位を譲渡することで換金化することになります(商品によっては譲渡が制限されている場合があります)。
【相違点②】金融市場の影響と価格の変動
J-REITは証券取引所に上場し金融商品化されているため、投資対象不動産の価格の変動だけでなく、金利変動などの金融市場の影響を受け、価格が大きく上下する場合があります。したがって、賃料や空室率などが安定していても、投資のタイミングによって、価格が上昇する場合もあれば、下がってしまう場合もあるため、価格変動リスクが比較的大きいといえます。
これに対し、不動産特定共同事業商品は証券取引所に上場していないことから、取引相場により形成される不動産マーケットにおける投資対象不動産の価値が、ダイレクトに出資持分の価値に反映されるため、出資持分の価値が比較的安定しているため、安定した投資をしたい投資家の方にはおすすめです。