リスクとは、将来起こりうる不確実な事象のうち、望ましくない結果をもたらす可能性のことを指します。つまり、何らかの損失や被害が発生する恐れがあることを意味します。
不動産投資を行う上でも様々なリスクを伴います。では不動産投資に関するリスクにはどのようなものがあるのか?
不動産投資におけるリスクの種類
不動産等にしおいては、大きく以下の10のリスクがあります。
- 空室リスク
- 家賃下落リスク
- 家賃滞納リスク
- 修繕リスク
- 不動産価値下落リスク
- 金利・景気変動リスク
- 災害リスク
- 火災リスク
- 倒産リスク
- 法改正リスク
空室リスク
不動産のリスクの中でも特に恐ろしいのが空室リスクです。空室が生じるとその分の家賃収入が減るため、借入金の返済や各種費用の支払いに影響が及ぶ可能性があるからです。空室リスクが生じる原因としては、家賃が相場に比べて高いことや、物件の老朽化・陳腐化による不人気、物件のエリアへのニーズの低下、物件の管理状況の悪化などが考えられます。
リスクへの対策としては、物件のエリアの人口動態や周辺の開発計画などを調査して、賃貸需要が見込めるエリアの物件を選ぶ、物件の管理方法の見直し・改善、リノベーションなどによる物件の魅力の向上、入居付けに強い不動産会社への協力の依頼などが考えられます。
家賃下落リスク
家賃は周辺相場に左右される傾向にあるため、エリアへのニーズの動向や競合物件の増減、景気動向などの影響を受ける傾向にあります。また、建物の経年劣化により家賃は下落する傾向があり、特に築年数が浅いほど下落幅が大きい傾向にあります。さらに、物件の管理状況が悪いと、それまでの家賃水準ではテナントがつかない場合があります。
これらのリスクに対応するためには、賃貸ニーズが安定しているエリアの物件や、家賃が安定している中古物件を選んだり、景気の影響により賃料変動が大きいオフィス・商業ビルではなくマンションなどの賃貸住宅を選ぶ、適切なメンテナンス等により物件の魅力の維持・向上を図るなどの方策が必要となります。
家賃滞納リスク
景気の悪化による雇用環境の悪化などにより賃借人が経済的に困窮したり、モラルが低いなどの質の悪いテナントが入居している場合には、家賃の滞納が生じてしまうリスクが顕在化する場合があります。家賃滞納が発生してしまうと、家賃の入金がないだけではなく、回収コストや退去させるためのコストが発生してしまう可能性があります。
このようなリスクを避けるためには、テナントの入居審査を厳格・慎重に行ったり、賃料保証会社との契約を入居条件にするなどの対策をとることが考えられます。
修繕リスク
時の経過により建物の老朽化は進行するため、将来的に修繕が必要となるリスクが想定されます。
建物は形あるものである以上、老朽化は避けられませんが、こまめなメンテナンスを行うことや、修繕ノウハウのある管理会社に建物の維持管理を依頼することで、修繕のトータルコストの低減を図ることが期待できます。また、将来の大規模修繕に備えて計画的に積立金を積み立てることもリスクに対する対策として有用です。
不動産価値下落リスク
不動産の価値は、不動産の老朽化・陳腐化、景気動向や金利の変動、物件エリアへのニーズの変化、競合物件の増減など、さまざまな要因により変動するリスクがあります。
したがって、不動産の価値が低下するリスクに備えるためには、不動産の定期的なメンテナンス、将来的な景気動向や物件エリアの需給動向の予測に基づく投資意思決定など、多角的な視点で対策を行う必要があります。
金利・景気変動リスク
経済的に金利は不動産の評価額を算定する上で重要な要素であり、現実的にもローンの支払利息の金額を左右するため、金利動向は不動産経営において重要なリスク要素であるといえます。また、インフレ・デフレなどの景気変動は金利変動に影響を与え、不動産価格の変動や企業の経済環境や雇用環境への影響が不動産の賃貸需給や管理コストにも影響を及ぼすことから、金利や景気変動のリスクは不動産経営に影響を与える重要な要素であるといえます。
これらのリスクに対応するためには、さまざまな情報からの金利・景気動向の予測、ローンの借入れにおける先を見通した返済方法や固定金利の選択などが重要になります。
天災リスク
地震・台風・落雷・洪水などの天災の発生により、不動産に多大な被害が生じるリスクがあります。このリスクが発生すると、修繕・復旧のためのコストが発生したり、家賃収入の減少、不動産価格の下落などが生じる可能性があります。
そのため、ハザードマップなどを利用して天災リスクの発生可能性や被害規模を予測したうえでエリアを選定したり、耐震補強などの物理的な対策を施したり、保険への加入による対策などが必要になります。
火災リスク
テナントの不注意や建物設備の不具合などが原因で火災が発生するリスクも想定されます。
火災リスクを顕在化させないための注意の喚起、老朽化設備の改修のほかに、火災保険への加入などの対策が考えられます。
倒産リスク
不動産の管理を管理会社に委託している場合には、管理会社が倒産してしまい、不動産管理に影響が及ぶリスクも想定されます。
当該リスクに備えるためには、管理会社の選定の際に信頼ができる会社を慎重に検討したり、いざという時に備えて、自主管理や他の管理会社への依頼を準備しておくなどの対策が必要になります。
法改正リスク
不動産投資はインカムゲインやキャピタルゲインの獲得、節税対策などを目的として行われますが、税制や建築基準法などの法制度が変更されてしまうと、投資を計画した当初の目的が達成できなくなるリスクがあります。最近では、タワーマンション投資による相続税の節税が制限された事例などが一例として挙げられます。
このようなリスクには、それぞれの法制度に通じた信頼できる専門家のサポートを受けたり、法制度をめぐる動きをウォッチする、過度で安易な節税策には気を付けるなど対応が考えられます。